「土州様」と書かれた墨書土器について(伊豫漫遊書庫から転載)

February 16, 2007
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 「土州様」と書かれた墨書土器について、現時点での考えを整理しておく。

1.墨書土器の説明文
 『土師質土器に文字を書いたものが出土しています。「月」「太」「仲」「洗」などはっきり読み取ることができます。
 墨書土器が捨てられていた土器溜りでは、「妙祐」「土州様」など人の名前と、「茶」「泉」「仙」などの文字が書かれた杯が出土しています。行司のあとに、使用した皿や杯に、その場で文字を書いて捨てたものと思われます。』

2.この説明文に関する疑問点
 捨てるものに何故文字を書いたのか。理由があるのか、単なる落書きか。

3.使われた時期
 土師質土器は一度使ったら捨てるのが普通。出土した場所が湯築城の拡張区域であるので、使われた時期は湯築城拡張後、1535年以降と推測するのが自然である。

4.土州様とは誰を指すか
 豫州殿とは伊豫守を名乗る人物、同じく對州は對島守、豆州は伊豆守であるから、土州様とは土佐守を名乗る人物と考えるべきである。従がってこの「土州様」を特定するには、湯築城拡張の時から廃城になるまでの間に、土佐守を名乗った人物は誰か、その中で伊豫に来たのは誰かを明らかにすることが先決である。なお、土佐守を名乗る人物とは、正式に官位を授かった人だけでなく、土佐守を自称する人も対象として調べるべきであろう。

5.該当する人物は
 長曽我部元親と延原土佐守の二人。これ以外に居たかどうか。

6.土佐守を名乗る人物が伊豫に来たことがあるか
 元親が土佐守になったのはいつか。その後、伊豫に来たか。来たとすればいつか。
 延原土佐守は伊豫に来たか。